歯が痛い・しみる

一口に歯が痛いといっても、その種類によってさまざまな原因と対処法があります。
歯が痛い、しみるなどのよくある症状を、6種類に分類しました。受診の参考になれば幸いです。

1.冷たいものが歯にしみる

水や冷たい飲み物・アイスなどを飲食する際や、ブラッシングの時に刺すような痛みを感じる場合は、象牙質知覚過敏症虫歯が疑われます。

痛みの原因が知覚過敏の場合

の症状は、温度、甘味や酸味の強いもの、歯ブラシなどの刺激に対して、歯が痛みを起こします。常に痛むのではなく、一過性のことが多いです。

原因を一言でいいますと、虫歯菌以外の要因で歯が溶けて、外部刺激が神経にさわるようになってしまったこと。
主に3つの原因が考えられます。

 ① ストレスや心身症による二次的なもの(歯ぎしり、食いしばりなど悪習癖)
 ② 加齢による歯茎退縮(歯茎の下がること)
 ③ 歯磨きの力加減が強すぎること

①は、歯と歯茎の間の境目に過度な力や負担がかかり、エナメル質がダメージを受けます。その後、象牙質と呼ばれる歯質が出てきて、象牙細管という組織がむき出し状態となり(象牙質露出)、外部の刺激が神経に伝わりやすくなります。

②と③は、歯肉の下にあるセメント質と呼ばれる部分が弱り、象牙質がむき出し状態になることで、刺激に過敏になります。

一般的な治療方法として、知覚過敏用のコーティング材の塗布、マウスピースを用いた歯の保護があります。

普段の生活の中で、次の2つに気を付けて下さい。
 ① 食事と食事の時間を空けること
 ② 歯磨き粉や、歯の磨き方を見直すこと

食事と食事の間隔が空いていると、歯の再石灰化が促進されやすくなります。ながら食べや間食を控え、生活スタイルを見直してみましょう。
歯磨き粉の選び方も重要です。研磨剤に頼らずにやさしく丁寧にブラッシングしたり、フッ素が多い歯磨き粉を選ぶなど、歯磨きにもコツが必要です。歯磨き粉の選び方やブラッシング方法についてはスタッフにご相談下さい。

痛みの原因が虫歯の場合

歯がジンジンと痛むような症状があります。それは虫歯が大きくなって神経に近くなり穴が開いて虫歯の細菌が神経まで到達してしまったと考えられます。
治療方法として、初期でしたら虫歯の部分を削り詰めて治すことができます。
虫歯の部分が神経まで到達している場合は、神経を取り、根管内の悪い菌をやっつける根っこの治療(根管治療)が必要となる場合があります。何度か通院が必要なので、治療に時間がかかります。

象牙質知覚過敏と虫歯は症状が似ているため、患者様ご自身がどちらなのか判断することは難しいです治療方法も異なりますし、放っておいて自然に治ることはありませんので、歯科医院にて検査をすることをおすすめします初期の治療により、治療時間も痛みも少なく済みます。

2.歯科治療後、歯がしみる・痛みが気になる

治療の数日後に痛みが出る場合はいくつか原因が考えられますが、いずれも、2~3週間程様子を見て、症状が軽減しているのであれば一過性の症状ですので、心配のないケースであることがほとんどです。
以下の3つのケースと照らし合わせて、まずは経過観察をしてみてください。

※ 反対に、症状が強く出るようであれば、神経をとる処置(根菅治療)が必要となります。詰め物のかみ合わせを調整することで改善することもありますので、相談下さい。

①詰め物の下の虫歯そのものが大きく、元々歯の神経に近いところまで治療をした場合

歯科治療などで歯を削るときは、その刺激や熱により神経にダメージを与え、興奮させてしまうことがあります。虫歯が大きいほど、神経までの距離が近いために、敏感になることが多いのです。
治療の際は麻酔を使っているので大丈夫でも、帰宅後に歯が痛くなることはどうしても避けられないのです。

②ブリッジの治療

歯を失った際によく行われるブリッジという治療方法では、その過程で、ブリッジの支えにするために削った歯が過敏になってしまうことがあります。

③銀歯の治療

銀歯は金属なので温度を伝えやすく、温度刺激によるしみや神経痛が強く出ることがあります。詰め物をして日が浅いうちは特に刺激に過敏な状態になりやすいです。

3.咬んだときにじんわりした痛み(鈍痛)や違和感がある

一見虫歯は無さそうだし、治療もしていないのに、噛むと歯にじんわりした痛みがある。そんなときは、歯のダメージやかみ合わせを疑ってみてください。

①歯ぎしりや食いしばりなど、無意識の習慣による歯の欠損

歯ぎしりや食いしばりが習慣になっていると歯に強い負担がかかり、歯の根っこが膿んだり、ヒビが入ったり、人によっては割れてしまうことがあります。

②かみ合わせが悪い

全体の咬み合わせや、隣の歯や上下の歯のなど部分的な咬み合わせの悪さが、歯の負担になることがあります。

治療方法

① 歯の破損が原因の場合は、レントゲンによって診察します。歯の破損の大きさや亀裂の方向によってはレントゲンでの判断が難しく、CTにて詳しく診断する必要があります。(当院では歯科用CTを完備しております)
② 咬み合わせが原因であれば、調節(咬合治療)が必要になります。

4.何もしなくてもズキズキと強く痛む

何もしていないのにずきずきと強く痛む場合は、虫歯が進行している可能性があります。神経の深さまで達していたり、細菌の感染が進行しているような虫歯は、かなり痛みが強いです。神経そのものが死んでしまい、根っこの先に膿が溜まっている、ということも考えられます。

どちらの場合も根っこの治療(根菅治療)が必要となり、治療に時間が必要な場合が多いです。できるだけ早く受診することをおすすめします。
(刺激や炎症がある場合は、治療後に痛み止め、化膿止めのお薬をお出ししますので安心してご来院ください。)

5.親知らずが腫れて痛む

親知らずは歯の生え方や状況にもよりますが、奥歯なので虫歯になりやすく、抜歯が必要なことがよくあります。
親知らずに限りませんが、抜く必要のある歯をそのままにしておくと、周囲の歯にも影響を及ぼし、歯並びが悪くなってしまうことも心配です。膿による口臭も問題となります。
親知らずの治療方法は、ご自身の予定に合わせて2通り選べます。まずは早めに掛かりつけの歯医者に行くことをおすすめします。

①その日に抜歯する

この方法のメリットとしては短時間での治療が期待できることです。腫れ、痛みが強いときは、麻酔が利きにくかったり、腫れているときに抜歯をすると、その後の腫れや痛みが出やすくなったりといったデメリットはありますが、仕事などで忙しくなかなか来られない方は、都合がつけやすいことと思います。

④ その日は消炎処置などの応急処置に留めておいて、後日治療する

この方法のメリットは、痛みや腫れが少ないということです。デメリットとしては、抜歯するまでに腫れや痛みなどの症状が出る可能性があることです。①よりも治療に日数がかかるのも考慮すべき点です。
親知らずの周囲が顎の骨で埋まっている場合は、外科的処置が必要です。特に糖尿病や骨粗しょう症のお薬を服用されている方は、大型の病院の口腔外科での抜歯が必要となります。

6.矯正治療初期の違和感

矯正のワイヤーの装着やマウスピースを入れて2,3日後、特に食事中に違和感や痛みを感じることはよくあります。矯正により顎の骨の上を歯が移動し、噛み合わせが変わるのが原因で、残念ながら多くの場合は避けられない痛みです。治療が進むと徐々に慣れて痛みを感じなくなっていきますので、経過観察をお願いします。治療初期で痛みが気になるようでしたら、痛み止めを飲むことをお勧めします。
また矯正治療途中に矯正器具によって口内炎ができる事があります。治療中でも口内炎用の薬をお使いいただけますので、歯科にご相談ください。