歯が欠けた

骨よりも固い歯ですが、ふとしたことで欠けたり、折れてしまうなどはよくあることです。歯が欠けるにはどんな原因があるか見ていきましょう。

歯の損傷の5大原因

①虫歯

見た目は健康そうな歯でも、硬いものを噛んだ時に欠けてしまうことがあります。
これは、歯の外側よりも内側のほうが早く溶ける素材であるため、歯の内側が虫歯になってしまったときに起こります。(これを歯の空洞化といいます。)
中高年になるとおせんべいやするめなど硬いものを食べて歯が欠けちゃった、という話をよく聞きます。加齢の他にも、実は見えない虫歯が原因だった、などということもあります。若い人も注意しなくてはなりませんね。

②歯ぎしり、食いしばり

歯ぎしり、食いしばりにより歯にかかる荷重は、その方の体重の2~3倍ほどの力がかかることもあると言われており、歯に大きな負担がかかります。(例えば、体重50の人だとなんと100~150kg!!)
特に神経を抜いてしまった歯は、栄養ゆきわたらなくなるのでもろくなってしまいます。
睡眠時の歯ぎしりでお困りの方は、マウスピースを装着して歯を守る対処法があります。治療は保険の適用となる場合がありますのでご相談下さい。

③外傷

お子さんに特に多いケースです。
運動中や日常生活の中での転倒、衝突などによって欠けたり折れたりすることがあります。
ずっと痛い場合、急に痛みが無くなった場合、どちらも歯の神経への影響が心配ですので、すぐに歯科を受診しましょう(歯以外にも、口内を負傷していることも多いです)。

酸蝕歯(さんしょくし)

甘いものが歯に悪いのは有名ですが、酸も歯に悪影響を及ぼします。歯の表面はエナメル質という硬い材質で覆われていますが、それがジュースやスポーツドリンクなどの飲み物、果物や酢の物など酸味の強い食べ物で口内環境が酸性に傾き、エナメル質が柔らかくなります。(pH5.5が基準ですので、なんとお味噌汁もギリギリアウトです)
その状態で強いダメージを受けると歯が削られやすいのです。食後の歯磨きは力を入れすぎないように注意しましょう。
酢やレモン、果物など酸が強い食べ物の摂取は健康上大切なことなので、よく気を付けてケアしましょう。

歯の欠損の保険診療と自費診療について


歯の損傷の治療法を、保険診療、自費診療に分けて、その特長と共に見ていきましょう。

<破損が小さい場合>

レジン充填と呼ばれるプラスチックの白い詰め物を用いて保険治療で比較的簡単に治すことができます。
欠けた部分だけ詰めて修復できるので、歯を余分に削らなくて済むのがいいですね。レジンはセラミックと比べると汚れが付きやすいので、定期健診を積極的に受けましょう。

<中程度の破損の場>

全体に冠を被せて処置します。

・前歯の場合

保険診療:金属のフレームの上にプラスチックを盛る被せ物治療(補綴治療)となります。
自費診療:オールセラミック冠が一般的です。

・奥歯の場合

保険診療:被せ物が銀歯かプラスチックの歯になります。詰め物であれば、銀の詰め物になります。
自費診療:セラミック冠またはセラミックインレーと呼ばれる白い詰め物(セラミック治療)になります。

<破損が大きい場合>
・神経が生きている場合

全体に冠を被せて処置します。

・神経が露出している場合

神経を取り、根っこの治療が必要となります。(根管治療)
神経を取った歯は栄養が通わなくなるので脆くなり、破折のリスクが高まります。土台を入れから、強度を出すために全体に被せ物をする形をとります。

<大きく破折した場合(折れた、抜けた)>

骨縁下組織まで広がる程まで歯が大きく欠けた場合は、抜歯が必要となります。
抜歯した場所をそのまま放置しておくと、噛み合わせが悪くなり、更に歯を失うことになりますので、入れ歯やインプラントなどの治療が必要です。
両隣に歯がある場合は、ブリッジで治療することもできます。

歯が欠けたり抜けたら場合に気を付けること3つ

応急処置として、この3つを必ず守ってください。歯を残せる可能性が高くなります。
(30分以内であれば歯根幕が再生しやすいです。)

  1. 欠けた部分には触らない
  2. 適切な保存を心がける(手に入りやすい保存液は牛乳です)
  3. できる限り早く歯科医院へ行くこと

牛乳に漬けておくのが望ましい理由
抜けた歯や歯の破片は、乾燥させないよう牛乳に浸けておくのが望ましいです。(迷信ではなく本当です。)
牛乳は、口内に近いpHを備えているので、歯根の表面に付着した歯根膜組織を良い状態に保つのが可能です。
反対に、よくやってしまいがちですが、水道水に漬けたり、ゴシゴシ汚れを洗い流すと歯の組織が悪化しますのでおやめください。

保険診療と自費診療で迷うときにはご相談ください

ひと昔前までは大きな虫歯、欠損の治療は銀歯が主流でしたが、ここ10年ほどで歯の色に近い素材による治療も進み、見た目もかなり改善されてきています。
しかし、強度や見た目の美しさではやはり自費診療にかないません。

自費診療は保険内治療に比べると治療費が高くなりますが、見た目がとてもきれいになります(周りの人から見てもほぼ治療済だと気付かれません)。
実際、金属アレルギーや有毒性を気にして、銀歯から高品位セラミックに付け替える人も多いです。納得のいく治療を選ぶために、どんなことでも歯科にご相談ください。